おすすめ展覧会 2018

「アート・オン・スクリーン」 映画で楽しむ新しいアート鑑賞

「ボストン美術館の至宝」展


アートを楽しむ新しい方法として「映画での美術鑑賞」が提案されました。芸術作品の鑑賞は、オリジナルを訪ねて美術館や博物館へ、または収蔵している教会やお寺に行って実物を観ることがとても大切です。でも、実際行ってみたら、柵があって近くに寄れない、作品の前に大勢の人がいて立ち止まることもできない、海外の美術館なんていく暇ない・・・など、理想はわかるけどなかなかじっくり本物を鑑賞する機会は少ないのが現状だと思います。

「アート・オン・スクリーン」は、そんなお悩みを解決する方法の一つです。誰にも邪魔されず、坐ったままで、作品に大接近する大画面を観ることは、アート好きだけでなくあらゆる人の心を揺さぶるはずです。

もちろん映像のすばらしさだけではありません。アート・オン・スクリーンは、ミケランジェロ、クロード・モネ、フィンセント・ファン・ゴッホという3人の画家に焦点を当て、それぞれの人生を追体験するように進行します。映画が終わった後、いつの間にか彼らのことに詳しくなったり、作品を深く知る情報を得たり・・きっと、素晴らしい体験と記憶をお土産にできます。

「アート・オン・スクリーン」をプロデュースしたフィル・グラフスキーはエミー賞やBAFTAの審査員も務める名椀プロデューサーで、美術だけでなくモーツワルトやショパンなどの音楽家の映像も手掛けています。作品中の音楽にもかなりこだわりを持って制作したそうです。

「ミケランジェロ 愛と死」

2018年11月16日以降、各地のユナイテッド・シネマにて上映されます。お近くの劇場で是非お楽しみください!!

詳細→http://artonscreen.jp/theater_uc.html

「私は、クロード・モネ」

2018年11月16日以降、各地のユナイテッド・シネマにて上映されます。お近くの劇場で是非おたのしみください!

詳細→http://artonscreen.jp/theater_uc.html

「ボストン美術館の至宝」展


「フィンセント・ファン。ゴッホ:新たなる視点」

東劇(東京) 10月6日日㈯~10月26日㈮

ミッドランドスクエア シネマ(名古屋) 10月6日㈯~10月19日㈮

なんばパークス シネマ(大阪)10月6日㈯~10月19日㈮

神戸国際松竹 10月6日㈯~10月19日㈮

一般2,000円/学生1,500円

2018年11月16日以降、各地のユナイテッド・シネマにて上映されます。お近くの劇場で是非おたのしみください!

詳細→http://artonscreen.jp/theater_uc.html

「ミケランジェロ:愛と死」 のみどころ

ミケランジェロ(Ⅰ475-1564)はイタリア盛期ルネサンスの彫刻家で画家、建築家、そして詩も残している万能の天才です。けれども彼は、彫刻家であることにこだわり、自らを「彫刻家」と呼んでいました。

彫刻は、硬い素材を彫るカービングと、粘土などの柔らかい素材で原型を作るモデリングの二つに分けられます。ミケランジェロの彫刻はカービングです。ダヴィデ像などは、イタリアのカッラーラという土地の白大理石を使って制作されています。

一度彫刻してしまえばやり直しのできないカ―ビングで、迷いもなく道具を振り、硬い大理石から柔らかい肉体と衣服のドレープを生み出したミケランジェロ。その作品を、様々な角度や光のもとで接近して撮影した映像は、美術館では味わえない迫力です。さらに専門的な視点から分析したキュレーターたちのコメントは、私たちに新たなミケランジェロの魅力を伝えてくれます。

ミケランジェロの絵画で有名なのは、やはりシスティーナ礼拝堂でしょう。31歳の時、天上画を依頼されますが、彼は「自分は画家ではない」と言い張って一度は逃げ出してしまいます。けれども6年後、有名な≪太陽と月と草木の創造≫を含めた素晴らしい天上画が完成します。60歳の時、再び画家として≪最後の晩餐≫を依頼され6年後に完成させます。

ルネサンスの巨匠の一人として知られるミケランジェロの天才ぶりは少年時代から語られています。その後の彼の人間性については「人間嫌い」「芸術の革命家」「劣等感の持ち主」など様々です。この「ミケランジェロ:愛と死」という作品に収められたローマやフィレンツェの教会や美術館で撮影された迫力ある映像とミケランジェロ自身の言葉や研究者の意見などで、あなたのミケランジェロ像を見つけてください。

「私は、クロード・モネ」 のみどころ

クロード・モネ(Ⅰ840-1926)はパリで生まれ、美しい港町ル・アーブルで育ちました。少年時代から絵画の才能があり、10代の時には地元の名士たちのカリカチュア(風刺画)を描いてお小遣い稼ぎをしていました。この頃、画家のウジェーヌ・ブーダンに出会い、戸外で描く事の重要性を彼から学びました。

モネは印象派を代表する画家です。印象派という名前は、1874年にモネたち(後に印象派の画家と呼ばれる画家たち)が展覧会を開いたとき、彼らの斬新な手法の絵画を見た美術評論家のルイ・ルロアがモネの≪印象ー日の出≫をもとにして「印象派たちの展覧会」という、彼らを批判する記事を書いた事に由来します。

それまでの絵画は、描く対象の形をしっかりととらえ、立体感を出すために陰影をつけて、表面を滑らかに仕上げることが正しいと考えられていました。けれども彼らは描く対象の形よりも光や色を大切と考えて、パレットで絵の具を混ぜずに原色で、細かいタッチをキャンバスに並べて人や風景などを描きました。

この映画では、カメラはモネの作品にぎりぎりまで迫り、描かれている対象が、大づかみで勢いのある筆跡の集合で形作られていることが分かります。そして、作品から離れていくと、その色面がキラキラと光る海面やごつごつの岩、ゆらゆらと揺れるケシの花になるのです。

また、スクリーンいっぱいに映されたモネの作品から実際の風景が浮かんできたり、現実の景色が徐々にモネの絵画になったりする画像がたくさん挿入されています。モネは景色をどう観たのか、モネの目にはどう見えたのか、そしてどう描いたのか。私たちはモネの目になって実感することができます。

この映画は、モネが書き残した文章や手紙の朗読とともに進行していきます。モネは多くの友人や知人に手紙を書きました。例えば、外光で描く事を教えてくれたブーダンや、10歳年上で印象派の画家たちのまとめ役でもあったピサロ、尊敬し師と仰いだマネ、早くからモネの才能を認めバックアップしてくれた画商のデュラン=リュエルなど、彼らに宛てたモネの手紙から彼の人生を追体験します。

私たちは、モネが何に悩み、苦しみ、そしてどんな作品をどのように描きたいと思っていたのか、彼の言葉で知ることができます。晩年は、生活も安定し、ジベルニーに家を買えるほどになっても決して満足しなかったモネ。明るく軽やかで、美しい色彩のモネの作品の背景には「まだだ!まだだ!」と自分を追い込んでいった彼の情熱がありました。私たちも「もっと!もっと!」モネを知りましょう。

「フィンセント・ファン・ゴッホ:新たなる視点」 のみどころ

フィンセント・ファン・ゴッホ(1853-1890)は、オランダのベルギー国境近くの小村ズンデルトで生まれました。父のテオドリウス・ファン・ゴッホは村の牧師、母親のコルネリアは芸術に理解の深い優しい人でした。ゴッホは10代の頃からスケッチや水彩画をたくさん描きましたが、これは母親のすすめでした。


ゴッホの作品に多く見られるキーワードは、貧困、飢餓、病気、自殺です。またその困難の中で描き続けた「情熱の人」「独創の画家」というキャラクターを持っています。ポール・ゴーギャンとの別れや経済的にゴッホを支援した弟テオとの兄弟愛もよく語られます。でも、ゴッホという画家を理解するには、それだけでいいのでしょうか。


そして、ゴッホの狂気に近い情熱は一体どこから生まれたのでしょう。子供の頃から頑固で気難しく孤独だったゴッホの性格は、たとえばゴッホが、生まれる前に死んだ兄の名前を受け継いでいて、自分は両親にとって兄の身代わりだと考えるようになったからだとか、なかなか正式な聖職者になれなかったコンプレックスからだとも言われてきました。


この映画は、ゴッホの人生の一時期だけにフォーカスするのではなく、画家になる決心をする前から、丹念に彼の生涯をたどっています。キュレーターや研究者たちの言葉とともに映される彼の生きた時間とその時に描かれた絵画の映像は、「新しいゴッホの視点」につながっていきます。


また、日本の展覧会では、あまり見ることのできないゴッホの初期の素描や水彩、泥にまみれた農婦たちを力強く描いた農民画、テオへの手紙に添えられた挿絵なども数多く観ることができます。初めて見る≪自画像≫にも出会えるでしょう。このような日々の努力の積み重ねの後に、私たちがよく知る≪ひまわり≫という作品が誕生したのです。


この映画は、アムステルダムにあるゴッホ美術館の理論が大きく取り入れられています。この美術館は常設展を新しくする際に、作品だけではなく「ゴッホ個人」を理解してもらうことに力を注ぎ、展示を再構成しました。


ゴッホは苦しみながらも描くことを選び、そして10年という短い間に多くの作品を遺しました。「彼の作品の何が私たちの感情を刺激するのか」「彼は私たちに何を伝えたかったのか」この映画の進行とともに徐々に明らかになっていく、そんな体験のできる映画です。


 

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